コロナとアラスカ

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先日、マヤルカ古書店星野道夫の本を買った。数年前に訪れたアラスカの事を久しぶりに思い出した。そして今の状況で読むとものすごく心がシンクロする。なぜだろう。

 

アラスカの冬は厳しく、生き物が生存するための生の営みはひたむき。生きている事の不思議さ、脆さを見せつけられる。そんなアラスカで感じた事が不思議とコロナ渦で感じた事が重なった。そしてそれはそのまま自分が冬の絵を好んで描く事の意味とも重なった。

 

自粛生活の中で幾度も頭をかすめたのはセスナから見た、人っこ一人いないアラスカの雪で覆われた大地。人どころか生き物の気配すら感じない極北の厳しい自然。だけどそこにすら、雪の下、地面の下には、短い春を待つ植物や動物が眠っているという。街から人の姿は消えても家の中でコロナが終息する事を待ちわびる人々がいる。その光景がアラスカで感じた事と重なったのかもしれない。「もし冬がなければ春の訪れにこれほど感謝する事は出来ないだろう」だいぶはしょっていますが、星野道夫の言葉。生きる事は死と対峙する事で脆さを感じると同時にいとおしさを感じるものなのだと実感します。